極北

マーセル・セローの「極北」

フィクションなんだけどノンフィクションのように思われる小説です。
高邁な理想を掲げ入植した人々、ある時から荒んでいき崩壊していく過程。
放射能汚染され廃墟となった町。
強制労働させられる囚人たち、etc。
確かでリアルな描写があります。

人間観察にも容赦はありません。
たとえば
「事態が悪化し、危険なものになったとき、人はそれになるたけ美しい名前をつけようとするものなんだ」(P90)

「不思議なことだが、人々は理念のために戦っているときに、最も残虐になれるようだ」(P139)

「ここの連中 (注 : 囚人たちのこと) は、他人の弱みを糧として生きているのだ」(P163)

「人の真実の像は、本人が他人にこう見てほしいと望んでいる像とは、反対のものである」(P352)


ハッとさせる言葉もあります。
「まわりのすべてが崩壊してしまったとき、人をまっすぐ立たせておいてくれるのは、決まった習慣だ」(P37)
これなんか3.11で被災された方に聞いてみたいことです。
天災の多い日本です。いつ何時何があるかわかりません。いかなる場合でもまっすぐ立っていたいという願望があります。

極北

これが本書の表紙です。中央より右上に小さな点のようなものがあります。シベリアの雪深い中にあって一人生きている主人公を表しているように思われます。

主人公の名はメイクピース。

若かりし頃から晩年までの人生を追っています。そこには確たる歩みがあります。重く深い一歩一歩が記されています。

あらすじは言いませんよ。

翻訳者の村上春樹が“あとがき”で、「何よりも意外感に満ちている。僕は思うのだけど、小説にとって意外感というのは、とても大事なものなのだ」と書いています。

だから言いません。

ビックリするような展開がいくらもありました。これは読んでのお楽しみ(笑)


それから、キリスト教の知識があるとより深く理解できるかもしれません。
メイクピースが住んでいたエヴァンジェリン。wikiにはこんな説明がしてありました。
西洋の女性名、および地名。福音を意味するギリシア語由来のラテン語エワンゲリウム Evangelium に由来し、19世紀半ばにアメリカの詩人ヘンリー・ロングフェローが発表した詩「ユヴァンジェリン」で初めて登場した、かなり新しい名である。

クエーカー教    
ホレブ
イゼベル
カイン
パリサイ人   など


それから極限状態における人間のありさまについても考えさせられます。

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