見える目で裁くな
古川薫「斜陽に立つ」に福田恒存の文章が引用してありました。

長文になりますが引用します。
「近頃、小説の形を借りた歴史読物が流行し、それが俗受けしてゐる様だが、それらはすべて今日の目方見た結果論であるばかりでなく、善悪を一方的に断定してゐるものが多い。
が、これほど危険なことは無い。
歴史家が最も自戒せねばならぬ事は過去に対する現在の優位である。
吾々は2つの道を同時に辿る事は出来ない。とすれば、現在に集中する一本の道を現在から見遥(みはる)かし、ああすれば良かつた。かうすれば良かつたと論ずる位、愚かな事は無い。
殊に歴史ともなれば、人々はとかくさういふ誘惑に駆られる。 (略)
当事者はすべて博打を打つていたのである。丁と出るか半と出るか一寸先は闇であつた。それを現在の『見える目』で裁いてはならぬ。
歴史家は当時者と同じ『見えぬ目』を先づ持たねばならない」
これは福田恒存が1970年に書いた「乃木将軍と旅順攻略戦」にある言葉です。歴史好きの僕としては、肝に銘じたい言葉です。
それから、昨日の落合博満の言葉を相通ずるところがありますね。スポーツにしろ歴史にしろ、あまりにも結果論で語られることが多いから。
ところで司馬さんは「坂の上の雲」で、旅順攻略戦に関して伊地知参謀朝や乃木将軍を批判しています。意地悪く読めば“軍神”と崇められていた乃木を意図的に貶め、“愚将”の烙印を押すかのようにみえます。
「坂の上の雲」と「殉死」(僕はまだ読んでいません)の影響力は甚大です。2つの作品を読んだ人の多くは、乃木は愚将であると思ったのではないでしょうか。
古川さんは、乃木希典の汚名をすすぎたい思いで「斜陽に立つ」を書きました。
この本からいくつか書きたいことがありますが、今日はここまでにします。
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長文になりますが引用します。
「近頃、小説の形を借りた歴史読物が流行し、それが俗受けしてゐる様だが、それらはすべて今日の目方見た結果論であるばかりでなく、善悪を一方的に断定してゐるものが多い。
が、これほど危険なことは無い。
歴史家が最も自戒せねばならぬ事は過去に対する現在の優位である。
吾々は2つの道を同時に辿る事は出来ない。とすれば、現在に集中する一本の道を現在から見遥(みはる)かし、ああすれば良かつた。かうすれば良かつたと論ずる位、愚かな事は無い。
殊に歴史ともなれば、人々はとかくさういふ誘惑に駆られる。 (略)
当事者はすべて博打を打つていたのである。丁と出るか半と出るか一寸先は闇であつた。それを現在の『見える目』で裁いてはならぬ。
歴史家は当時者と同じ『見えぬ目』を先づ持たねばならない」
これは福田恒存が1970年に書いた「乃木将軍と旅順攻略戦」にある言葉です。歴史好きの僕としては、肝に銘じたい言葉です。
それから、昨日の落合博満の言葉を相通ずるところがありますね。スポーツにしろ歴史にしろ、あまりにも結果論で語られることが多いから。
ところで司馬さんは「坂の上の雲」で、旅順攻略戦に関して伊地知参謀朝や乃木将軍を批判しています。意地悪く読めば“軍神”と崇められていた乃木を意図的に貶め、“愚将”の烙印を押すかのようにみえます。
「坂の上の雲」と「殉死」(僕はまだ読んでいません)の影響力は甚大です。2つの作品を読んだ人の多くは、乃木は愚将であると思ったのではないでしょうか。
古川さんは、乃木希典の汚名をすすぎたい思いで「斜陽に立つ」を書きました。
この本からいくつか書きたいことがありますが、今日はここまでにします。
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