ノルウェイの森

「ノルウェイの森」は村上春樹5作目の長編です。1987年に発表されベストセラーとなりました。読まれた方も多いのではないでしょうか。

単純な色分けをすれば“恋愛小説”になるのでしょう。しかし、男と女が出会って恋におち~といったどこにでもあるような恋愛ものではありません。
村上春樹特有の“失われたもの”や“損なわれたもの”に関することがテーマになっているし、“死”がそこにあるものとして取り扱われています。

小説中唯一太字で書かれているのが
死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」(P40)

ここからもわかるように“死”も大切なテーマになっています。
だから重いんですね。哀しいし切なくもあります。ここが恋愛もの(と僕がイメージするもの)と一線を画しています。


この小説の画期的なことは、登場人物に名前がついていること。
これまでの4作の長編や短編は1人称で書かれていて、主人公は「僕」であったり「私」であったりしました。今回は「ワタナベ」という名前がつけられています。
登場人物もこれまでは「鼠」「双子」「羊博士」「羊男」「彼女」などでしたが、「ノルウェイの森」では「キズキ」「直子」「レイコ」「緑」「永沢」等が登場します。

名前があるのって新鮮ですね。

これって不思議な感想でしょ。
でも村上作品を初期から順に読んでいるから言えることなのです。


10/25記事の「虚構」で書いたように、短篇集「回転木馬のデッドヒート」がリアリズムの文体の訓練という位置づけを含んで書かれました。リアリズムの文体でどこまで話をつくっていけるかを試していたのです。確かな感触をつかんで書かれたのが「ノルウェイの森」です。

小説の世界に疎い僕は“リアリズム”がなんなのかさっぱりわかりませんが、この小説がこれまでの村上作品と違うなということはわかります。
一つの新境地を切り開いた作品と言えるかもしれません。摩訶不思議な小説世界でないことも含めてね(笑)


ちなみに「ノルウェイの森」はビートルズの曲です。

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心理小説かも

この本は恋愛小説らしいのですが、主人公に関わった人たちが次々に死んでいくという、不気味な話だったような...。本を処分してしまったので、細部はよく覚えていませんが。
主人公の感情的な"冷たさ"が感じられるので、読んでいて気持ちの良い本ではなかったですね。
ラストは、主人公は結局自分が今どこにいるのかわからない...というような形で終っていたのではないでしょうか。
自分が何をしているのか、彼自身にもわかっていない、もしかしたら彼自身が関わった人たちを死へ追いやっていたのかもしれないと思えるような、ちょっと怖いところはあります。
心理学専攻の友人が言ってましたが、心理分析するとなかなか凄い(恐ろしいという意味で)本だそうです。そういう意味ではリアリズムがあるのかもしれません。

心理小説

Yoshimi さん、こんにちは。

そうなんですよ、よく人が死ぬんですよ。
不気味とか気持ち良い本でないという感想もよくわかります。

いろいろと思い返してみても、恋愛小説らしくない恋愛小説だったなという印象が残ります。

>心理分析するとなかなか凄い(恐ろしいという意味で)本だそうです<
ちょっと、興味津々ですね。
僕は心理学を学んだことはありませんし、心理分析の方法すら知りません。けれども分析結果がどんなものであるかは聞いてみたいです。
深いところで何かがあるんでしょうね。

仮に僕が心理分析できるとして、「ノルウェイの森」を再読するかというと、簡単にイエスとは言えません。理由は簡単、骨が折れるからです。結果を誰かから聞くのが楽ですからね(笑)
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