悪貨

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「悪貨」

エンターテイメントとして読めば、かなり楽しめます。

「悪貨が良貨を駆逐する」
この言葉を、小説仕立てにしたという観点から行くと、見事な出来栄えです。ここでの悪貨は、偽造通貨です。

資金洗浄やマネー・ロンダリングの話も出てきます。


国際金融テロが日本で起こった場合はどうなるか? これは重要な設定です。
ナチスドイツは大戦末期に大規模な金融テロを実行しました。イギリス・ポンドとアメリカ・ドルを大量に偽造しようとしていました。
これを近未来の日本を想定して、中国人の郭解という人物が、機械でも見破る事のできない偽造通貨を蔓延させ、ハイパーインフレを起こし、日本経済を破綻に追い込む、そして「日本買い」をする。そして日本を実質支配する。

「悪貨」ではこうした陰謀が着々と進められていきます。これを作者の空想と嗤うことができません。現実にあり得ると思います。ひょっとしたら現在進行中かもしれません。そんな恐怖を感じさせる小説でもありました。


小説の構成としては、一見バラバラの事柄が一つに収斂していくようになっています。怪しげな集団も出てきます。(彼岸コミューンという名前です)
なんとなく「1Q84」に近いものを感じさせます。

「宗教経済がブームになる」と神田昌典が何かで書いていました(出典不明です、スミマセン)
この小説に出てくる「彼岸コミューン」が共産主義の考えからでてきているのかな???
組織としての規模が大きくなって、宗教法人になっています。(やや唐突な感じでしたが・・・)

興味深い一節を引用します
「ぼくが(主人公の野々宮のこと)「彼岸コミューン」を支援したのは、貨幣の彼岸を作りたかったからだ。中国人の手を借りて、堕落したエンをベースにした貨幣経済を終わらせ、「彼岸コミューン」の通貨アガペーをベースに友愛に基づく新たな経済システムを作り上げ、日本の故郷を復活させ、中国人の占領に対抗する。これがぼくのやろうとしたことだ」(P232)

彼岸は仏教用語。
アガペーはギリシア語。キリスト教では見返りを一切求めない「犠牲の愛」を「アガペーの愛」としています。
友愛は少しばかり懐かしい(?)言葉ですね。

用語や考え方は、神田さんのいう「宗教経済」の一つの形なのかなと思ったりします。


さて潜入捜査等から、偽造通貨による国際的陰謀が明らかになりました。
首相官邸では官房長官、国家戦略大臣、金融庁長官、警察庁長官などが対策を協議します。
国民向けには事件解決に努力するふりを見せ、実は裏取引をして事を収めようとします。
詳細は書きませんが、政府高官たちの売国奴的発想には腹が立ちました。一方で、今の政府もそうかもしれないと思ってしまったのも事実です。

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