「自己啓発病」社会
「天は自らを助くる者を助く」で有名なスマイルズの『自助論』、読んだことがありますか?
僕は数年前に読みました。でも、これって抄訳なんですね。しかも著者の意図するところが伝わらないどころか、歪めた翻訳のようです。
宮崎学の「『自己啓発病』社会」にそう書いてありました。
以前の記事に、30代は自己啓発本はよく買ったけど、40を過ぎてからほとんど買わなくなったと書きました。理由はわからないのですが、自己啓発に興味が薄れてしまったのですね。

宮崎さんは、2000年に入った頃から「自己啓発」ブームが始まり、今は下火になった。ブームがブームでなくなり、日本社会で常態化している。
つまり自覚症状のない「自己啓発という病」に罹っている、と見ていて、その問題意識からこの本を書いています。
それで「自助論」の話になるのですが、小泉構造改革が批判の的になり、小泉純一郎や竹中平蔵の推し進めた新自由主義を批判し、彼らが礼賛する「自助論」の問題点を指摘しています。
それが冒頭に書いた抄訳であることなのです。全訳ではないのです。
抄訳ということは、カットがあるということです。そのカットの在り方が問題だと宮崎さんは指摘します。
・つまみ食いのように所々取り出して訳している
・訳者(竹内均)個人の関心と問題意識が反映されており、竹内均解釈による自助論となっている
・削られている部分に大事な点がある
・竹内訳は、成功ノウハウ本みたいに仕立てられているが、本当は成功が問題なのではなく立志が問題であり、成功の秘訣が語られているのではなく精神が語られているのである
「精神」について説明します。
これは、近代精神としての自助精神で、キリスト教プロテスタンティズムとイングランド自由主義を柱としています。
また、みずからの職業を神から与えられた天職として受けとめ、それを勤勉と努力によって全うすることをもって、神の呼びかけに応えるものだとするプロテスタンティズムの職業倫理の基づいているのです。
ここからは僕がまとめますが、
簡単にいうと竹内訳は、キリスト教色を抜き取ったものになっているのです。だから、魂を抜かれて別の色合いを持った本になってしまったのです。俗にいう人生指南書とか成功案内書といったところです。
そんなこんなで、小泉、竹中、それから勝間和代(も名指しされていますが)は、歪められた「自助論」を礼賛しているわけです。
ここまでが最初の3分の1なのですが、長くなったのでそろそろ終わります(笑)
ちなみにこの本はBOOK・OFFで買いました。108円です。たまたま目についたのですが、いい買い物をしました。

全訳を読みたい方は『西国立志篇』をお読みください。
中村正直が、1871年に訳しました。明治になってすぐの頃です。宮崎さんのこの本を読んで興味がわきましたが、読めるかどうか心配です。古文ですからね(笑)
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僕は数年前に読みました。でも、これって抄訳なんですね。しかも著者の意図するところが伝わらないどころか、歪めた翻訳のようです。
宮崎学の「『自己啓発病』社会」にそう書いてありました。
以前の記事に、30代は自己啓発本はよく買ったけど、40を過ぎてからほとんど買わなくなったと書きました。理由はわからないのですが、自己啓発に興味が薄れてしまったのですね。

宮崎さんは、2000年に入った頃から「自己啓発」ブームが始まり、今は下火になった。ブームがブームでなくなり、日本社会で常態化している。
つまり自覚症状のない「自己啓発という病」に罹っている、と見ていて、その問題意識からこの本を書いています。
それで「自助論」の話になるのですが、小泉構造改革が批判の的になり、小泉純一郎や竹中平蔵の推し進めた新自由主義を批判し、彼らが礼賛する「自助論」の問題点を指摘しています。
それが冒頭に書いた抄訳であることなのです。全訳ではないのです。
抄訳ということは、カットがあるということです。そのカットの在り方が問題だと宮崎さんは指摘します。
・つまみ食いのように所々取り出して訳している
・訳者(竹内均)個人の関心と問題意識が反映されており、竹内均解釈による自助論となっている
・削られている部分に大事な点がある
・竹内訳は、成功ノウハウ本みたいに仕立てられているが、本当は成功が問題なのではなく立志が問題であり、成功の秘訣が語られているのではなく精神が語られているのである
「精神」について説明します。
これは、近代精神としての自助精神で、キリスト教プロテスタンティズムとイングランド自由主義を柱としています。
また、みずからの職業を神から与えられた天職として受けとめ、それを勤勉と努力によって全うすることをもって、神の呼びかけに応えるものだとするプロテスタンティズムの職業倫理の基づいているのです。
ここからは僕がまとめますが、
簡単にいうと竹内訳は、キリスト教色を抜き取ったものになっているのです。だから、魂を抜かれて別の色合いを持った本になってしまったのです。俗にいう人生指南書とか成功案内書といったところです。
そんなこんなで、小泉、竹中、それから勝間和代(も名指しされていますが)は、歪められた「自助論」を礼賛しているわけです。
ここまでが最初の3分の1なのですが、長くなったのでそろそろ終わります(笑)
ちなみにこの本はBOOK・OFFで買いました。108円です。たまたま目についたのですが、いい買い物をしました。

全訳を読みたい方は『西国立志篇』をお読みください。
中村正直が、1871年に訳しました。明治になってすぐの頃です。宮崎さんのこの本を読んで興味がわきましたが、読めるかどうか心配です。古文ですからね(笑)
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