もういちど村上春樹にご用心

内田樹の「もういちど村上春樹にご用心」を読みました。

この本は学術研究や一般にある文学批評と一線を画するものです。
まえがきにこう書いています。
「『評論家』ではなく、『ファン』『崇拝者』というポジションから村上春樹を論じています。そういうスタンスから作家論を書く人はあまりいません」
とハッキリ言っています。そして
「『偏愛的作家論』でも十分批評性を持ちうる。僕はそのことを証明してみせたい」
と意欲的です。

僕は文学研究などないので、こういう文学批評もありであるとか、いやダメだという資格はありません。一介の文学素人が読んだこの本、無茶苦茶おもしろかったです。

内田さん特有の難解な表現や言い回しがあってわかりにくところはありますが、それはそれとしておいといて、トータルで刺激的であり、気づきを多く与えてくれるほんでした。

たとえば

「村上春樹は『正しさ』について語ったことはない。つねに人間を蝕む『本能的な弱さ』について語っている
     (中略)
この『弱さ』をきっかけにして、異界への扉が開く、というのが村上文学のひとつの説話原型である」 (P58)

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人間の精神の健康は、『過去の出来事をはっきり記憶している』能力によってではなく、『そのつどの都合で絶えず過去を書き換えることができる』能力によって担保されている」 (P69)

これ、凄い言葉ですよ。「そうか!」という感じですね。僕がみてきた具体的な事例をいくつも思い出しましたから。
大いに納得です。


村上春樹と司馬遼太郎は「私達の社会の深層に伏流している、邪悪で不健康な『マグマ』のようなものについて意識的である点で共通している」 (P100)

このような意表を突くことも書いています。


いっぱい引用したいのですが、まあこのあたりにしておきます(笑)



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