武士の家計簿(2)

「武士の家計簿」は、加賀藩猪山家のもので、天保13(1842)から明治12(1879)までにつけられた家計簿を題材にして書かれました。

江戸時代の3大改革である天保の改革は、天保12から14年の間(1841~1843)に行われましたが、家計簿は改革のさなかにがつけ始められました。

天保の改革はひっ迫した幕府財政の立て直しの為に行われました。猪山家の家計簿は、一家破産の危機を契機としています。
猪山家は借金が莫大であったどうしようもなくなって一大決意をしたようです。借金整理をして、二度と借金を背負わないように計画的に家計を管理しようと考え、完璧な家計簿をつけ始めました。

そのおかげで磯田道史さんは「武士の家計簿」を書き、僕がこうして読み、幕末から明治にかけての武士や士族の実態の一部を知ることができたのです。感謝なことです。


猪山家は加賀藩の御算用者(ごさんようもの)です。簡単に言ってしまえば「会計処理の専門家」であり「経理のプロ」です。
だから完成度の高い家計簿が作られました。

ところで、史料でもある武士の家計簿は、なかなか見つからなかったようです。
磯田さんは、武士はは一般に「どんぶり勘定」であった可能性があり、家計管理がずさんな「階層文化」をもっていたかもしれないという可能性を示唆しています。

「武士とくに上級武士は、算術を賤しいものと考える傾向があり、算術に熱心でなかった。熱心でないどころか『学ばないほうがよい』とさえ考えていた」(P20)

これは一つの傍証ですね。
それからこのことが、江戸時代の行政組織のとして一つの弱点の原因になります。

行政には必ずお金がついて回ります。収入支出の管理には「算術」が不可欠です。その算術ができる人材が常に不足していました。

それで御算用者は、比較的身分にとらわれない人材登用がなされていたようです。


今日のところはここまでです。
時間に余裕があるときに続きを書きます。

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No title

「武士とくに上級武士は、算術を賤しいものと考える傾向があり、算術に熱心でなかった。熱心でないどころか『学ばないほうがよい』とさえ考えていた」

なるほど、家計簿がわから武家文化を見るとわれわれが見落としがちであった側面をうかがい知ることができるのですね。
とするとこの本は武家社会とお金に関する事柄の貴重な考察ですね。

江戸時代の武士

わんわんわん、こんにちは。

仰る通り「武家社会とお金に関する事柄の貴重な考察」となっている本だと思います。

なんとなく時代劇などで知ったような気になっている武士ですが、「武士の家計簿」はいままで知らなかったことをたくさん教えてくれる本です。
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