気骨稜々なり

火坂雅志の「気骨稜々なり」を読みました。

この小説は、安土桃山時代に活躍した博多商人島井宗室を主人公にしています。

戦国時代の博多は大きく栄えた商人の街で、堺と同様に商人が自治権を持った都市でした。島井宗室(出家前は徳太夫という名前)の生家は練酒(乳酸発酵させた香りのいい白酒)の造り酒屋をしていました。
徳太夫は家業の他に茶道具に目をつけました。
日本で高値がつく唐物や高麗物の茶碗や茶壺が朝鮮では驚くほどの安値で売られているのです。徳太夫は富貴な茶人が好みそうな茶道具を安くで買いつけて、日本で高く売るという商法で儲けていきました。

徳太夫は茶道具を取り扱ったおかげで、戦国大名とつながりをもつことができるようになりました。まずは大友宗麟、後に織田信長や豊臣秀吉です。

ただ商売がうまいだけの豪商なら、歴史小説の主人公になりませんね。それなりの理由があると思います。
作者は火坂雅志さん、僕は一度も読んだことがありません。「天地人」の作者としてしか知りませんが、これの主人公である直江兼続と島井徳太夫、なんとなく近いものがあるかもしれません。(これ、勝手な推測)

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印象的なところを引用します。
「おれには大望がある」
「金儲けか」
「たしかに金は欲しいが、それが目的ではない」
「と申すと?」
「海あきないで巨利を手にし、その力で博多のいかなる権力者にも支配されぬ、あきゅうどの町にする。それがおれの望みだ」

ここのところがいいですね。
それから秀吉の挑戦出兵にも敢然と異を唱えるのです。首が飛ぶのを覚悟の上です。

商人にも凄い人がいたんですね。また、これを紹介してくれた火坂さんに感謝!
それから、この本は僕が今年読んだ歴史小説の中では3番目によかったです。

1番、2番は、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」と山本周五郎の「樅ノ木は残った」で、ここは揺るぎません。その下に年末ぎりぎりで滑り込んだのが「気骨稜々なり」です。


最後に本書のタイトルになった由来部分です。
秀吉が「そなた、一介の商人にしておくには、いかにも惜しい面構えじゃ。武士になってわしに仕えぬか」と真顔で言います。
宗室が断ると、秀吉に「それは惜しいのう、そちの気骨稜々だる面魂、武士となれば万人を従えるよき将となろうものを」と言わせました。


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