権謀の人

司馬遼太郎「夏草の賦」より

長曾我部元親が土佐を制し、隣国へ食指を伸ばしているころ
「蛇のように執念ぶかく、きつねのようにずるく、虎のようにむごい」(P210)
と言われていたようです。

司馬さんはこんなことを書いています。

元親は、権謀者である

権謀者にとって全世界の人間は利用されるために存在している。それが悪徳である、という思想は東洋にない。
むしろ人を利用するにしても私心をわすれ、誠心誠意利用すれば薄情な善人よりも多くの人を感動させる、という思想は東洋にある」(P206)

ほ~、そんな思想があるのか?!
ですね。びっくりしました。

ちなみに一般の日本人は、騙す人が悪いと考えますが、中国人は騙される方が悪い、と考えるそうです。
そう、考えると驚くことはないかもしれません。


もう一つ

「余談ながら、信長の外交は、つねに権略である
うそ、だまし、すかしが外交の基調であり、信義ではない。

うそは、誠実につかねばならないだまそうとする場合、誠心誠意だまさねば ― 必要なら相手と心中するほどの覚悟でだまさねばだませるものではないことも、信長は知っていた」(P303)

この後、具体例として対武田信玄外交と対上杉謙信外交のことが書いてあります。


これって戦国時代の外交はこうであった、と終わらせてはいけないような気がします。
まさに、今の日本外交もこういう思考が必要なのかもしれません。外国が日本を誠心誠意騙しにくるかもしれないので。
スポンサーサイト

夏草の賦(上)

昨年はあまり読書に時間が取れなかったので、その分をこのお正月に取り戻そうと気合を入れました(笑)
いつも数冊の本を併読しているのですが、今年は司馬遼太郎が多くの時間を占めました。
そして今日ご紹介するのは「夏草の賦」、その上巻です。

夏草の賦

この本についてご存知でない方は、右側の本を見て「?」がいくつもついたのではないでしょうか。

説明しますね。
「夏草の賦」は、長曾我部元親(1539~1599)を主人公にしています。元親が家督相続したときは、土佐一郡しか領有していなかったのが、武力調略を駆使して四国の大部分を征服するまでになりました。そこで織田信長の勢力圏と接することになります。
信長が美濃を制したあたりから明智光秀と長曾我部元親につながりがあり、織田と長曾我部の対決が現実に迫るなか、両者の板挟みとなったことが本能寺の変の一因という説があります。

詳しくは、明智憲三郎「本能寺の変 431年目の真実」をお読みください。

この本は2009年に「本能寺の変 427年目の真実」として出版され、2013年に「 ~ 431年目の真実」として修正・加筆されて文庫本として出版されました。だから今年は2017年なので“435年の真実”ということになります。

すみません、しょうもないことが気になるもので(笑)

で、この本を読んだ時、なぜ明智光秀と長曾我部元親に関係あるのかわかりませんでした。
正確に言うと、光秀の家臣斎藤利三の妹が元親の正室になっています。どういうつながりで縁戚関係になったのがわかりませんでした。

それが「夏草の賦」の冒頭に出てくるんですね。びっくりしました。
引用しますと
「織田信長が、尾張から美濃へ進出し、岐阜城を本拠にした早々のころのことである。岐阜城下で美貌のむすめといえば
― 内蔵助屋敷の菜々殿。
と、たれもが指を折った」
とあります。内蔵助というのは斎藤利三のことです。
そこへ長曾我部家から縁談が持ち込まれます。その頃は土佐に4つの勢力があってお互いにしのぎ合っていた状況での話です。

元親の視線の遠さに驚かされます。

この縁談がまとまり、菜々は元親のもとへ嫁ぎます。




話は一気に飛んで、上巻の最後の場面。

信長から元親へ、攻め取った讃岐・阿波・伊予を元の持ち主に返して土佐一国だけの領主になるか、織田家と戦うかという決断を迫ります。
使者になったのが、石谷光政(いしがやみつまさ)です。「夏草の賦」では斎藤利三の弟、菜々の兄となっています。(この兄弟関係は他の本では違っていますが、今は横に置きます)

元親とすれば信長の要求をのめるわけがありません。家来でもなければ同盟関係でもありませんからね。当然拒絶します。


上巻最後の数ページ、元親の言葉の断片をつなげると

「いっそかの信長を斃してしまわれては?」
「明智どのが、信長を斃す。斃したあお、毛利家と同盟していちはやく京をおさえる。拙者は四国勢をあげて大いに応援つかまりましょう」
「上方にお帰りになれば、光秀どのにそのように申されよ」


これを読んで、思わず本棚から「本能寺の変 431年目の真実」を取ってきましたよ。
そして、今回記事を書きました。

下町ロケット

ここ何年かの読書傾向は、政治・経済・歴史が中心になっています。

特に政治は時事問題が主で、日本がこの激動の時代をどう生き残っていくかこのまま安穏としていては、国が滅びてしまうのではないかという切迫感が根底にあって、その問題意識に沿った内容の本を多く選んでしまいます。

となると、どうしてもお堅い本が多くなります。おそらく読書中は、やたら難しい顔して、眉間にしわを寄せているんでしょうね(笑)

けれどもそればっかり読んでいると、息が詰まってしまいます。時おり爽快感が味わえる小説を読みたくなります。
そこで選んだのが「下町ロケット」

下町ロケット表紙

新聞の連載小説だった「花咲舞が黙ってない」が面白くて(ちなみに僕は、同名のTVドラマがあったことは後で知りました。だから全く見ていません。それから半沢直樹が出てくる小説もドラマも見ていません)、池井戸潤さんの小説で他の作品を読んでみたかったから、「下町ロケット」を選びました。

この小説、ただただおもしろくて、1日で読んでしまいました。
僕の場合、1日で読んでしまうことは珍しいことです。それだけ面白かったという証拠です。それは僕個人にだけ通じる証拠ですけどね。
朝から読み始めて、日中は空き時間を使って読み、夜は風呂を上がってからずっと読みました。爽快感とともに本を閉じたのは深夜でした。さすがに次の日はきつかったですね(笑)

この小説には続編があるそうですね。読んでみたいと思っています。

乃木希典と日露戦争の真実

僕は、司馬遼太郎が大好きです。

僕のささいな読書歴の中で、司馬作品が一番多くの冊数を占めていると思います。たぶん・・・
そして今後もこれは変わらないでしょう。

その司馬さんなんですが、全知全能でもなければ万能の人でもありません。そして、小説家であって、学者ではありません

司馬遼太郎の小説は、あくまでも小説であることを頭に入れて読むべきだと思います。

小説に書かれていることが全て真実だと思わない方がいいです
たとえば「馬がゆく」で描いた馬は実際の坂本龍馬と違う部分があります。「坂の上の雲」もそうです。

事実と違うからダメなんだと言っていません。あくまで小説として楽しめばいいし、両作品とも僕は傑作だと思っています。


それで今回の本紹介ですが、桑原嶽(くわはらたけし)の「乃木希典と日露戦争の真実」です。

野木01

桑原さんは、陸軍士官学校と中野学校で学んだあと軍に配属され、太平洋戦争を戦い、大戦後は警察予備隊そして自衛隊で役職を歴任した方です。
この履歴からわかるように軍事に精通した方で、その目から見た日露戦争の記述に違和感を感じることがあり(特に乃木希典に関するところ)、本書のもととなる文章が書かれました。それが平成2年に発行された「名将 乃木希典」で、今回新書として復刊されました。

帯の裏を撮ったのがこれ↓

野木02


なかなか面白い本でした。
旅順攻防戦そして黒溝台会戦、奉天会戦について深く知ることができました。

真珠湾

安倍首相が今夜ハワイに向けて出発します。そしてパールハーバーを訪問します。

ところで皆さん、このパールハーバーつまり真珠湾について知っていますか?

日本軍による真珠湾攻撃に至る過程

攻撃の様子

この攻撃に対するアメリカのとらえ方、利用の仕方

戦後の日米双方の歴史的評価

現在の真珠湾の様子

など


僕はゼロに近いくらい何も知りませんでした。この本↓を読むまでは、無知であったという意識さえありませんでした。

逆転ガイド

まず、ありのまま事実を知ることが大切であることを教えてくれました。

安倍さんの真珠湾訪問の意味も、この本を読むと読まないでは大きく違うだろうなと思います。

プロフィール

Author:よんちゃん
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード